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駆ける爆ぜるぎゅっ

承太郎は駆けた。夕暮れの住宅街をひたすらに駆け抜けた。
全長1.9mの大男が疾走する街並みは張りつめた緊張感に静まり返り、彼がアスファルトを蹴りつける音だけが雄々しく冬空の下に響き渡る。しかし奇異の目で見られることなど承知の上、恥などは学校玄関でスタートを切った瞬間にかなぐり捨てた。

ともかく彼は、不特定多数の人間の胡乱な視線をどれだけ集めてしまおうとも、一刻も早く自宅へと帰りたかったのである。


「帰ったぞDIOォォォ!!」

門扉を蹴破り引き戸を軋ませようやく辿り着いた自宅玄関にて、承太郎は靴を脱ぐよりも先に絶叫した。
まるで恫喝でもしているかのような、ドスの利いた恐ろしい声である。しかしやっとの思いで彼が到達したこの空条邸、建物自体はおろか恐ろしい広さを誇る庭をも有した屋敷であるので、不穏な声を聞きつけたご近所さんを怖がらせてしまう羽目にはならずに済むのだった。
普段ならこの時間帯は家にいるはずの母も、先週の頭辺りにふらっと姿を現した夫、つまり承太郎の父と共に旅行へ出てしまっている。なのでたった今、承太郎の声を聞きつけられた者などはこの世に1人しか存在しない。
DIOだ。
承太郎に呼ばれたDIOだけが、誰もいない家でただ1人、首を長くして今か今かと承太郎の帰宅を待ちわびていたのである。

「遅い!遅いぞ承太郎!!!」

ばたばたと落ち着きのない足音と共に、金髪を振り乱したDIOが玄関口へと駆けてくる。
その姿にはかつての帝王の面影などはない。承太郎を目掛けて一直線に走ってくる姿はどこまでもいじらしく、承太郎の中の焦燥感や、DIOへの愛しさなどを、際限知らずで膨らませてゆくばかりであった。

「じょーたろおぉぉぉ!」
「DIOォォォ!!」

さながら当身であるDIOの激しい抱擁を、承太郎は前傾姿勢で受け止めた。
彼も頭の片隅では、互いの背骨を圧し折らんばかりに情熱的に抱き合うことも、馬鹿みたいな大声で名前を呼びあうことも、自分はもとよりDIOのキャラですらない、とは分かっていた。それでもDIOへと向かう欲求に歯止めはきかず、むしろ今更がっつく己を恥じる必要があるものかとすら思いながら、承太郎はDIOの顔を覗きこむ。最後にこんなにも間近で向かい合ったのは、ゆうにひと月以上は昔の話である。
目が合うやいなや、どちらからともなく唇が触れあった。承太郎はDIOの後頭部を押さえ込み、熱い口内を蹂躙する。されるがままにはならず、逆に承太郎を征服してやろうとでも言うかのように蠢くDIOの赤い舌が、底の見えない興奮をどこまでも煽ってゆく。
「じょ、たろうっ!」
「部屋まで持たねーぞ!」
「それは構わん、一向に構わん!しかし鍵だ、鍵、閉めたのか!」
「くそっ!」
全身を裂かれるような名残惜しさと共にDIOから離れ、承太郎は戸口へと向かった。ほんの数秒で済む作業である。しかし今はそれだけの時間のロスすらも惜しい。過ぎた興奮と焦燥に、逞しい指先は震えていた。
それでもどうにか承太郎は、半開きになっていた引き戸を閉め、施錠までを完了させた。あとは振り返り、もう一度、DIOを抱き締めるのみである。しかし――
「っ、」
突如背筋を駆け抜けた痺れるような感覚が、一瞬承太郎の動作の全てを停止させる。
覚えのある感触だった。慌てて視線を股間の辺りへ落してみると、そこには案の定、学生服の上から承太郎の陰茎を撫でさするDIOの白い指先が、妖しく蠢いていたのだった。
「なにをもたついているのだ承太郎っ、もう待てん、はやく、はやく」
いつの間にか、肩口にDIOの顎先が乗っていた。切なげに蕩けた顔を傾けて、美貌の吸血鬼は一心に承太郎を見つめている。涙の膜に覆われた赤い双眸はあまりにも情熱的である。
承太郎の喉が鳴った。すっかり反応を見せ始めている下半身に、更なる熱が集まってゆく。果てしない熱に唇は戦慄いて、精神はどこまでも切迫した。
「っ、おいDIO、お前、準備はできてんのか」
「勿論だとも、わたしがどれだけお前の帰宅を、待ち侘びていたと思って」
「よし……」
承太郎は、背中にぴたりと張り付くDIOの体をゆっくりと、まるで壊れ物を扱うかのように引き剥がした。下手をすれば本当にこの体を壊れ物にしてしまいかねないほどに興奮をしている。
時間さえかければどんな怪我でも綺麗さっぱり回復してしまう体だということは、実際にこの吸血鬼を縦半分に割ったことのある承太郎が一番よく知っていることだった。そうと分かっていても大切にしたいのだというDIOへの愛しさは、いつの間にか、初めからそこにあったかのような自然さで、承太郎の深い部分に根付いてしまっている。
殆ど正気を失ってしまっている今でもそれは変わらないらしい。いざ体を重ねるだけである、という段階に来て、承太郎は漸くこの暴走への躊躇覚えたのだった。だけれども、

「承太郎、」

DIOがまっすぐに承太郎の目を見つめながら零した一言、生まれてからずっと慣れ親しんできた己の名前が、DIOに纏わる感情の全てに許しを与えるかのような錯覚を抱かせるのだ。
承太郎は荒々しく、木目の床の上にDIOの体を組み敷いた。満足げに笑ったDIOは両腕いっぱいに承太郎の背中を抱き締めて、やはり承太郎は、許されたような心地になって、DIOの首筋に鼻先を埋めたのだった。



どれだけ待ち侘びたのか、という訴えを証明するかのように、DIOの手で慣らされたのだろう後孔は柔らかく綻び、いつでも承太郎を迎え入れる準備ができていた。
本音を言えばそこの準備もそうだし、愛撫だって入念に施してやりたかった。しかし承太郎は、今の自分にはそんな余裕などがないことを強烈に自覚しているので、今回ばかりはDIOに甘えることにしたのだった。
詫びるように、抱え込んだ足の先にキスをする。今回甘えた分などは、これからDIOを甘やかすことで取り返してゆけばいいのだ。はっきりそう言えばDIOが調子に乗るので言葉にしたことはなかったが、承太郎は決してDIOに甘えられるのも、甘やかすことも嫌いではない。
「なにをしている承太郎」
「ああ……悪ぃ」
DIOが学生服の袖を引く。行為を急かすのみならず、その指先には恥じらいからくるちょっとした怒りも込められていた。
いかにDIOとはいえど、膝裏を抱え上げられて恥部を曝け出すような姿勢を取らされ続けていれば、羞恥心の一つも覚えるものであるらしい。加えて下衣や下着は腿の中腹辺りまでずり下ろされただけで、本当に「恥部だけを晒している」状態なのである。そりゃあこいつでもこんな顔をするよなと、承太郎は苦笑した。そんな承太郎を見上げるDIOの目が、益々じっとりと据わってゆく。機嫌を取るべくもう一度「悪い」と謝りながら、承太郎は先走りを垂らす陰茎を後孔の入り口に押し当てた。
「ぁ、は、はやく」
その途端にDIOの美貌がだらしなく崩れてゆく。暴力的に淫猥だ。承太郎は生唾を飲み、奥歯を噛んだ。
今更焦らす理由などはない。これ以上は承太郎も耐えられない。
育ちきった承太郎の陰茎は、一息にDIOの体を貫いた。

「っ~~~~!!!」
「……っ……!!」

見開かれたDIOの双眸から熱い涙が零れ出す。ずっぽりと陰茎を食んだ吸血鬼の体は、声もなく震えていた。
落ち着くまで待ってやった方がいいのだろうとは、承太郎も頭の中では分かっている。それでも若い衝動は彼をせっつくばかりで、18年をかけて築かれた人間性さえも曖昧にしてしまう。
承太郎は、DIOの両肩を押さえ込む。そして涙に濡れる瞳を覗きこむと、
「動くぞ」
とただ一言。正気であった時ならば一応は気遣いの言葉も添えてみる場面で、そっけない宣言を吐き捨てるように叩き付け、強引に抽挿を開始したのだった。
「じょうたっ、ひ、ぃっ!?ぁ、ぁああっ、あ、あぅ」
ひくひくと収縮する内壁は、まるで承太郎の陰茎を歓迎するかのように熱く絡みついてくる。押しても引いても快楽は止まない。
そしてなにより他でもないDIOに受け入れられているのだ、という実感が、承太郎の頭のてっぺんからつま先までを、果てのない幸福感で満たしてならないのだ。
「じょうたろう、じょうたろうっ」
「DIO……!」
まるで自分とDIOの2人だけが、止まった時間の中に取り残されてしまったかのような甘ったるい幻想が、承太郎の頭の中を席巻する。いいや、むしろ承太郎は、このまま永遠に時間が止まってしまえばいいだなんてことを、今だけは半ば本気で願ってしまっているのだ。全く彼らしくはない感情ではあったが、今はそんな陶酔すらも幸福の糧となる。
だがしかし、そうして微笑む承太郎をあざ笑うかのように――

「っぅ、あ……!?」
「ぁ……ん……?……んん……?」

巨大な熱が暴風となって承太郎の中を通り過ぎてゆく。腰が砕けてしまいそうな倦怠感と、妙に冴え冴えと覚醒した意識を置き去りに。

とても――とても覚えのある感覚である。
たっぷり6秒、結合部をまじまじと見下ろしたのちに、承太郎は思わず頭を抱えて俯いた。
(み……三擦り半……だと……!?)
それはあまりにも早い熱の解放だった。一体承太郎の飢えとは如何ほどのものであったのか、という命題に解を与えるがごとく、DIOの後孔からは痙攣するようなひくつきに合わせて白濁が零れている。
いくら――飢えていたとはいえ。
まるで盛りのついた猿のようだ、と承太郎は思った。そして遅れてやってきた絶望が、瞼の裏を真っ黒に染めてゆく。年齢不相応の落ち着きと貫録を兼ね備えた彼ではあるが、「好きな人の前ではいい格好をしたい」と思う程度には、彼だって人並みに健全な男子高校生なのだった。その尺度に照らし合わせてみれば、今の状況は全く好ましいものではない。
「む……承太郎、きさま、もしや、」
下半身の違和感を察したらしいDIOが、ある確信を携えた目で承太郎を見る。
咄嗟に承太郎が思ったのは、馬鹿にされてしまう、ということだ。日頃から承太郎をガキだなんだのとからかってくるDIOのことである。1人先走って絶頂を迎えた承太郎を嬉々として揶揄し出す場面などは、容易に想像できることだった。
「……」
からかわれるのは嫌だった。しかしそれ以上に承太郎は、なんだかもう、死ぬほど恥ずかしかった。これでは本当にDIOの言うよう、セックスすらままならぬ「ガキ」であるのではないのかと。
羞恥に染まる頬をDIOの目から隠すべく、承太郎はいつの間にか頭から落ちていた学生帽でDIOの目元を覆った。そしてDIOの口から次の言葉が飛び出す前に、抽挿を再開させたのだった。唇を噛みしめながら、それはもう無心に、盛大に。
「ひぐっ!?ぁ、あ、じょ、たろぉ、ぁ、べ、べつにっ、ん、わたし、はっ、あ……!せ、責めている、わけではぁ、あ、ひっ……!」
「~~っ、無理に、喋んじゃあねぇぜ、舌ぁ、噛むぞ……!」
「だ、だって、あ、溢れてぇ、ああっ、や、き、きさまっ、どれだけ、ためこんで、じょ、じょぉたろっ、あ、あああぁ!」
承太郎本体の代わりに彼の学生帽を胸元に抱え込み、ひたすらにDIOは喘いだ。最早呂律は回っていない。舌ったらずな甘い嬌声は、どこまでも承太郎の脳を痺れさせてゆくばかりである。
「いいっ、きもちい、あぅ、んっ、い、いいぃっ、じょぉたろぉ……ああ、ぁ……す……すごいぃ……ぁひっ、あ、ぁ、あっ」
「すげぇのは、どっちだってんだよ、この野郎……!」
「あ゛、ああ、んひっ、ぃ、ぃあ、あ……――!!」
承太郎はばたつくDIOの足を一纏めに抱え直すと、床の上へ横倒しに押し付けた。無理な体勢にDIOの肉体は軋みを上げる。承太郎を食んだ箇所はバランスの崩れた体を支えるように、一層切実に食んだ欲望へと絡みつく。途端に承太郎の陰茎は、一度目の絶頂などはなかったと言わんばかりの硬度を取り戻し、恐ろしい凶器となってDIOの体を抉るのだ。
「ぅ、は、はふ、ぅ、あ、んっ、んんぅ」
怒涛のような快楽にDIOは咽び泣く。抱え込んだ帽子の端を食んで絶頂感に打ち震えながら、それでも承太郎から目を離そうとはしない。ひと月だ。ひと月もの、同じ家に居ながらろくに会話もできなかった期間が、DIOを大変にしおらしい生き物に変えてしまった。

(DIO、)

愛おしい、と同時に、果てしなく申し訳がない、と承太郎は思う。仕方のなかったこととはいえ、こんな姿を晒させるまでDIOに寂しい思いをさせてしまったことは、どうすることもできない現実なのである。
承太郎はDIOから帽子を取り上げた。露わになったDIOの唇はすっかり充血し、てらてらと唾液に濡れていた。性急に口付ける。2人揃って荒い息を漏らしながら、貪るように舌先同士を絡ませる。そうしている間にも承太郎はDIOの内壁を擦り上げ、掌で陰茎を激しく扱き、DIOに絶頂を促し続けるのだ。ひと月放っておいたことに対する――ついでにちょっと前の三擦り半への、彼なりの罪滅ぼしであった。
「DIO、っ……DIO……!!」
「ぅぁ、ぁ……承太郎っ、じょ、たろっ――!!!」
呼吸さえ溶け合うような深い口付けの中で、DIOは全身を震わせ射精した。
きつい締め付けに溜まらず腰を引いた承太郎は、外気に触れる根元の辺りを自分の手でぞんざいに擦り、そうして迸った熱をDIOの中へと注ぎ込む。許容量を超えた白濁はぼたぼたと後孔から溢れ出し、真っ白のDIOの内股を淫猥に汚してゆく。
「は……は、ふぅ……」
「……そろそろ行くか、部屋」
「ああ……そうだな……玄関は床が、硬くて……敵わん……」
承太郎は倦怠感に包まれた体を叱咤して、自分以上にぐったりとした様子のDIOの体を抱き起す。とろんと蕩けたDIOの目と視線がかち合うと、やはりどうしようもない愛しさは膨らむばかりで、承太郎は散々に貪った唇へ再び口付けを仕掛けるのだった。
「ん……承太郎、」
「ああ、」
「……『おかえり』。……このDIOを、こんなになるまで待たせおって、この、おおばかものー……」
「ああ、悪い、悪いことしたとは思ってるぜ。おい、くすぐってぇぞ」
「わたしは腹を立てているのだ!ニヤニヤするな!……まったく、貴様の頭の出来がもう少しよかったなら、わたしはこうも女々しくならずに済んだというのになぁ。これだから頭の悪い人間というものは嫌いなのだ」
「だから、悪かったって」
うりうりと首筋に押し付けられるDIOの金髪のこそばゆさに、承太郎の笑みは深まってゆくばかりである。鼻先をそこへ埋めてみると、懐かしいDIOの香りが鼻腔を擽って、どこまで穏やかな幸福を承太郎にもたらすのだ。

――受験勉強が佳境に入るので大事な試験が終わるまでは暫く接触は控えよう、将来は財団の力を借りずに自分だけの力でお前を養っていきたいと思っているので、その足掛かりになる受験が終わるまでは、暫く協力をして欲しい。

断腸の思いでそう切り出してから、早ひと月。どうやら琴線に引っ掛かるものがあったのだろう、二つ返事で了承したDIOとは、本当に期間中一度も接触することがなかった。
やはりあの選択は正解だったのだ、と承太郎は思う。DIOの爛々と輝く赤色の瞳を見つめていると、時間の流れから隔絶されてしまったかのような気分になって、なにもかもがどうでもよくなってしまうのだから。
実際にはどうでもいいことなど1つもない。この現実でDIOと生きてゆこうと思うのなら、いつまでも幻想に浸っているわけには、子供でいるわけには、いかないのである。

「……なんだ、承太郎。お前、いつの間にか随分と大人ぶった顔をするようになったじゃあないか」
「マジでか」
「マジだ」
「ま……あんだけ我慢もすりゃあ、それなりにはな」
「ふふ、その調子だ。その調子で立派な男になって、わたしを養ってゆくのだぞ。死ぬまでな」
「死んでも不自由させねーくらいの蓄えくらい、どーんと残してやるつもりだぜ。精々期待するこった」
「……!それでこそわたしが認めた男であるぞ、承太郎!」
「はは、だからくすぐってーっつってんだろうが、DIO!」







プロットの段階では「ほらこれ(ローション)が必要だろうちゃんと持ってきた承太郎!褒めろ!」「でかしたDIO!」みたいなやり取りが入ってました


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