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侵略者X

エジプトに渡ってDIOを倒した。それが大体2ヶ月近く前の話。
灰に還したはずのDIOの破片が秘密裏に回収され、財団の管理のもとでDIOが復元されていたと聞かされたのが半月前。そしてじじいと共に財団の施設に乗り込んだのがその10時間後。たくさんの機材と研究員の輪の中心に、死体のごとく眠るDIOを見つけたのはそれから30分後のことだった。
なにやら妙に気になって、単身DIOの元を訪れたのがそれから3日後、現在から遡れば10日ほど前になる。昏々と眠り続けるDIOを硝子越しに眺めること4時間弱。そうこうしていると少々引いた様子の研究員に帰宅を促され、自分でもいまいち釈然としない気分のまま帰路に就いた頃には、太陽が半分ほどビル山の向こうに沈んでいた。
以来施設に通っては、目覚める様子のないDIOを眺めること続けて5日。一瞬目を離した隙にDIOの姿が消えたのだ、という緊急事態が6日目朝一に電話で知らされて、研究所へと急行することおよそ1時間後、見慣れた硝子張りの部屋からDIOの姿が消失している光景を目の当たりにした俺は、分厚い硝子に寄りかかり腹の底からの溜息を吐き出したのだった。それが丁度、一昨日にあった出来事だ。

そして――

「貴様学生の分際で中々の部屋に住んでいるのではないか。まったくどこまでも小憎たらしい男であるものだ!」

引っ越してきたばかりの新居の窓が、どこからか現れたDIOにぶち破られたのが今から遡ること2分前。お前一体どこにいた、何故俺の前に姿を現した、と問い詰めている最中不意に時間が止まったと思ったら、

「ふ、ふふふ、随分やさぐれてしまってはいるが、やはり貴様もジョースターの男であったというわけだ。ふふ、ふ――期待通りに、でかい」

人のズボンと下着を豪快にずり下げやがった吸血鬼が、萎れた性器にむしゃぶりつき始めたのが体感時間で言えば4秒ほど昔のことであるのだった。それはもう、すれ違いざまにハイタッチを交わすが如く、流れるような動作で以て。




「――いやいやおいおい待ててめぇ」
「む?らんらぁ、ひょー、たろぉ?」
「とりあえず、口!口離せ、この馬、っぅあ、あっ!?」
「んふ、ふふぅ、ん、んぅー」
窄められた赤い唇を蹂躙するように、はしたなく勃起しかかっている性器がじゅぷじゅぷとそこを出入りしている。いいや、蹂躙されているのは俺の性器であって、この赤い唇こそが極めて暴力的な征服者なのだ。そうとは分かっていても、何故だか妙な加害者意識ばかりが沸いてならなかった。理不尽だ、あまりにも理不尽だ。
「っ……っ、……!!」
「ふは、ふ、んー、んふ、ぅ」
足元に跪いたDIOは、爛々と輝く赤い目で絶えず俺を見上げながら、それはもう楽しげに口淫に耽っている。こんなに卑猥な光景を見たことがない。吊り上った唇の狭間から覗く濡れた舌が、あまりにもいやらしいのだ。頭は目眩に揺れてゆく一方で、体は下半身から競り上がる熱に燃え上がるばかりだった。
このまま訳も分からず流されるわけにはいかないと、俺はDIOの頭に手を置いた。するとDIOは金の睫毛を揺らして目を細め、舌先でちろちろと亀頭を擽りながら殊更淫猥に笑ってみせた。ずん、と一際下半身が重くなる。このままではいけない、本当にいけない。
衝動的に、金の髪を引っ張った。眉を顰めたDIOに咄嗟に、といった様子でぎゅっと性器の根元を握られて、快感交じりの圧迫感に喉が鳴った。もう腰から砕けて座り込んでしまいたい気分になっているが、そんな惨めったらしい姿を晒すのは死んでもごめんだ。ごめんなのだこの野郎と、奥歯を噛んで熱い息を噛み殺し、足元のDIOを睨みつけた。――唾液と先走りが入り混じった液体に、赤い唇がてらてらと濡れている。
「なんのつもりだ貴様承太郎!」
「そりゃあこっちの台詞だぜド変態!」
「変態だって?このDIOが?貴様あまり舐めた口を利いていると、んぶっ」
「出会い頭に人のもん舐めに掛かってきやがったのはてめーだろうが、オラさっさと口拭け口!」
「ぅぅりいぃぃぃ!!」
袖口で濡れた口元を強引に拭ってみれば、DIOはむずがる子供のようにいやいやと頭を振った。やがて右手に握りしめた性器を手放して、倒れ込むようにカーペットへと肘を付く。そしてはあはあと息を乱しながら、敵意も露わに俺を睨みつけるのだった。まるで暴漢に乱暴をされました、とでも言わんばかりの姿である。非道な暴漢本人が何ともまあ、いけしゃあしゃあと!
「痛い!承太郎の阿呆!」
「アホはてめーだクソ野郎!」
ズボンと下着を引き上げて、爪先でDIOの尻を蹴りつける。姿勢を崩したDIOは、起き上りざま腹癒せをするように俺の向う脛に正拳突きを食らわせた。普通に痛かった。思わずしゃがみこめば、四つん這いでにじり寄ってきたDIOがにやにやと俺の顔を覗きこむ。瞬間的に脳裏を過ぎ去っていったのは、この男にとんでもなく激しいキスを仕掛けられるのであろう数秒先の光景だ。そんな未来の到来などを許してなるものか。手を伸ばして、DIOの額を押さえつける。DIOはうりぃぃと喚きながら、尚もぶんぶんとかぶりを振った。
「貴様っ、貴様は一体、このDIOをなんと心得ているのだ!わたしをこんなに粗末に扱う奴も中々おらんぞ、承太郎め!」
「てめーこそなんのつもりだっ!大体お前、今までどこにいやがった!?」
「は?そんなことが気になるのか?なに、ずっと閉じ込められていたものだから、腹が減って仕方がなかったのだ。なので食い倒れツアーをな、うむ、2日ばかりこの辺で」
「……おい」
「そう怖い顔をするなよ。殺してはいない。腹立たしいことに、今のわたしは死ぬほど貧弱になってしまっているようなのだ。なので派手なことは慎んで、ほんのちょっぴりばかりの血液を『善意で』分けて貰って回っていたにすぎん」
「善意?また嘘くせー言葉を担ぎ出してきたもんだな、おい」
「ふふふ」
乱れた髪をおざなりに耳に引っ掛けながら、DIOはやりすぎだって程にいやらしく笑ってみせた。そしてそっと、俺の腹部へと指を這わせだす。作り物じみた真っ白の指先は、けれど酷く生々しく官能的だ。目が眩む。安っぽい蛍光灯の光が、眩しくてたまらない。
俺は平静を装って、白い手首を掴み上げた。DIOからの抵抗はなく、むしろ楽しげに笑みを深めてみせる始末である。小憎らしいたっらありゃしない。
「……で、お前結局ここに何しに来たんだ?俺ん所になんて来ちまえば、財団に連絡がいくのなんて分かりきったもんだろう」
「でもお前はそれをせんのだろ?」
「何言ってるんだ、お前?」
DIOの小首がこてんと傾げられた拍子に、金の髪がしゃらりと揺れた。その途端、雑然とした一室に華やいだ空気が広がってゆく。居心地の悪さに眉が寄った。
「ま――そういうのは後でもいいだろう。とりあえずは食事だ食事。その辺の雑草の如き人間の血を吸ったって、一向に腹は満たされん。やはり手っ取り早いのは、ジョースターの血をこの身に取り入れることなのだ」
「だからってのこのこと俺ん所に来るか普通?お前、焦ってやがるのか」
「焦るとも。焦らずにいられるか。貴様にあーんなに激しいことをされて以来、このDIOはくったくたのずたぼろだ。今やスタンドの力も満足に操りきれん腑抜けになってしまっているほどであるのだぞ、ああ腹の立つ、腹の立つことだ!ふふふふふ!」
「っ、おい」
不意を打つようにDIOの体が倒れ込み、鼻先が俺の首筋に埋まった。そして俺が首根っこを引っ掴むより早く、熱く濡れた舌が浮き出た頸動脈の上をねっとりと滑ってゆく。不快感と隣り合わせの快感が電流のごとく全身を駆け巡り、俺は手中に収めたDIOの手首を握りしめたままに硬直した。いつの間にか奴の右手は俺の下着の中に潜っていて、戯れるように俺の性器へじっとり五指を絡めている。
「なに……なにもただで血を喰らってやろうというわけではないのだぞ。対価ならここにある」
「対価ってお前……ああくそ、いいかDIO、同意のねぇセックスっつうのはな、対価なんぞになりやしねぇんだぜ。んなもんただの暴力だ」
「なら問題はないな。こんなにがっちがちに勃たせておいて、同意がないだって?馬鹿を言うなよ承太郎」
「っ――!!」
ぐり、と爪の先で尿道口を引っ掻かれ、息が詰まる。気を良くした様子のDIOは毒々しく笑い、自らの唾液で濡れた俺の首筋を甘噛みした。皮膚を撫でる牙の感触に心臓が跳ね上がり、血を吸われることへの生理的な恐怖に冷や汗が噴出した。DIOを遠ざけるべく、厚手のコートに包まれた肩を掴む。するとDIOは、俺のそうした抵抗を待っていたのだと言わんばかりに顔を上げ、それはもう楽しげに声すらあげて笑いながら、無慈悲なまでの激しさで俺の性器を扱きだしたのだった。
「――ひっ、っ、く、ぁ、お前っ……!DIO、お、おまえぇぇっ!!」
「おいおいどうした承太郎!?このDIOの肉体をかち割ってくれた男がまぁ、なんとも愉快な無様を晒しているものだ!ふふふ、気分がいいッ、実に気分がいい!おい承太郎、鏡はどこだ、どこにある!?せっかくだから貴様もしっかり見ておくといい、ジョースターの宿敵たるこのDIOしゃぶられ扱かれがちがちに勃起した、情けないッたら仕方のないこのペニスを!涎をだらっだら垂れ流しながら『もうたまりません』ってな具合にとろっとろにとろけた顔で悦ぶクソみっともない己の面をなぁぁふっふははははー!」
「よろこっ、んでなんかねぇぜ、この変態ッ、ド変態!!自分にもついてるもん握って喜んでるてめぇのが重傷だろうがクソ野郎!!」
「ンッンんン~!?なんだどうした、聞こえん、聞こえんぞ承太郎!?もう一度述べてみよ、ほらほらほらぁ、貴様には立派なお口がついているのだから言えるだろう、空条、承太郎!!?このDIOがなんだって!?」
「~~~~っ!!!!??」
先端に針をぶっ刺されたかのような衝撃に、一瞬にして目の奥は白み、頭のどこかが爆発した気配があった。DIOが尚も何かをさえずっているが、耳から耳を通り過ぎてゆくばかりで理解ができない。煩わしくて、うっとおしくて、なのに卑猥な言葉で責められていることだけは分かるものだから、羞恥心に熱が煽られるばかり、体は高まってゆく一方だった。
「っ、っ、っ……!!!」
「イイのだろう、承太郎?素直になるといい、クソガキめ!」
水中に突き落とされたかのような浮遊感に腰が浮く。DIOのこめかみを滑ってゆく玉の汗の輝きに喉が鳴る。そしてふっと俺の首筋に顔を埋めたDIOの、鋭い牙が皮膚を食い破る感覚に、とうとうやってきた吸血の衝撃に、理性のタガは決壊し、堰を切ったように嬌声が溢れ出た。
――気付けばDIOの手の動きに合わせるように腰を振っていた。ぼやけかけた視界のど真ん中で、興奮した面持ちのDIOがやたらとエロくさく笑っている。思わずDIO、と名前を呼んだ。この喉を通り抜けていった声に最早抵抗の意志はなく、まるでDIOという悪鬼に救いを求めているようですらある。一瞬ぱちくりと瞠目したDIOは、満足げに赤い目を細め、血液に彩られた唇でそっと俺の頬に触れる。あまりに優しいキスだった。今ばかりはそんな接触にすらも情欲を煽られてならない。とにかく、もう、早く――早くいかせてほしい、いきたい、いきたい。
「DIO――おい、DIO……!」
「出そうなのか、承太郎?」
「~~見りゃあ、分かるだろう!」
「どうして貴様はそう、可愛げのない物言いしかできんのだろうなぁ」
「あ……?」
絶頂に向かって、全速で駆けてゆくばかりだった熱の勢いがぴたりと止んだ。何事だ、と下半身へと視線をやれば、DIOの真っ白の手が下着の中から這い出ようとする光景にぶち当たる。
「な――なんのつもりだお前、まさかここまでやっておいて腹膨れたから帰るだとか、ふざけたことを抜かすんじゃあねぇだろうな!?」
「何を言うのだ承太郎。これっぽっちの血では腹が膨れるどころか、喉の渇きだって癒せやしないのだぞ。それに、このDIOの食事はこれからが本番だ」
「はぁ!?――!?」
べたべたになった真っ白の手が、無遠慮に人の下着をずり下げる。勃ち上がった性器が勢いよく飛び出す衝撃に声が漏れた。
「この行為はまあ、血を頂くことへの対価ではあるのだが――もう1つ、ちょっとばかり試してみたいこともあるのでな。わたしを『こんな:』にしたのは貴様であるのだし、最後まで付き合えよ、承太郎」
「な、なにを言ってやがるんだ、お前は?試したいこと?『こんな』?ちったあ俺にも分かるように――っ」
「……ふふ、熱いものだな。火傷するかと思った」
顔を埋める先を俺の首筋から股座へ鞍替えをしたDIOが、その柔らかな唇で、自らが育てた性器の先端にキスをする。そして紅潮した頬を隠すかのように垂れ下がってきた金髪を耳の上に掛けながら、顔を傾け俺の目を見て笑うのだ。

「それでは――ふふふ、『いただきまぁす』」

そうして、わざとらしく甘ったるい声を紡ぐ唇で勃起した性器を咥え込み――精子の一匹たりとも逃がしはしないと言わんばかりの執念を滲ませた口内で、育ちきったそれを情け容赦なく吸い上げたのだった。

「……~~……!!!!」

熱の解放に全身が粟立った。まごうことなき暴力である。それでも、抗いようがなく気持ちがいい。こんなの今までの人生で味わったことがなかったし、果たしてこれ以上の快楽がこの世に存在するのだろうかというほどに、DIOの唇によってもたらされた絶頂はあまりに気持ちがよかったのだ。
脱力のままに背後へと倒れ込めば、肩甲骨の辺りが固いベッドの淵に引っ掛かる。首が反っくり返り、天を仰いだ口からは荒く短い息ばかりが漏れた。速まった心臓の鼓動は収まらない。余韻までもが、強烈に、気持ちが良い。
「……おい……おい、結局お前……やりたいことってのは、なんだったんだ……」
このまま黙って天井を眺めていると、本格的に自分を見失ってしまう気がしてならなかった。とりあえずの自我を保つため、俺はDIOに話しかける。エジプトでは出会い頭に殴り合い、今夜は出会い頭にフェラをかまされたというだけの、希薄とすら呼べない俺とDIOの仲ではあるが、聞きたいことだけは山ほどある。
「俺をふぬけにしちまうことなのか、おい……聞いてんのか、DIO?」
しかし、DIOからの返答は一向に返ってこない。聞いてんのか馬鹿、耳腐ってんのかくそじじい。罵倒を投げつけてやったって、窓の割れた部屋には俺の声が空しく響くのみだった。さすがに訝しく思ったので、億劫ながらも首を起こす。目眩がする。
「……DIO?」
そうして数分ぶりに天井から離れた視界には、しっかりDIOの姿が収まっていた。DIOはちゃんと、まだこの部屋にいたのである。けれどなにか、様子がおかしい。ついさっきまでひっきりなしに卑猥な言葉を口にしていたくせ、急に黙りこんでしまったことからして嫌な予感がしてならないのだ。加えて俺の膝元でカーペットに両手を付き、なにやら項垂れているようにも見える様子で佇んでいる姿には、妙な薄ら寒ささえもが漂っていた。
もう一度、DIO、と呼ぶ。やはりDIOからの返事はない。
ベッドに背を預けたまま、少々の躊躇の後にDIOの二の腕の辺りに触れた。それでもDIOは動かない。なので――後から思えば俺も酷い射精の直後で判断能力が鈍っていた気がしてならないのだが、とにかく俺はDIOをこちらへと向かせるべく、汗ばんだ髪の張り付いた赤い頬を掌で包み込んだのだ。すると、
「こ……これはまずいな、承太郎……」
DIOはもったいつけるように顔を上げ、上擦った声を漏らしながらふにゃりと微笑んで見せたのだった。真っ赤に染まった頬を弛緩させ、涙の滲む両目をうっとりと細め――精液のこびり付いた唇から、はあはあと熱い息を吐きながら。思わず、息を呑んだ。先程までのサディスティックな表情よりも余程、下半身に訴えかけてくる表情であったので――なにやら妙な庇護欲のようなものを擽られて、腹の底がざわざわする。
「……そりゃあ、そんなもんが旨いわけねぇだろう」
「ん……あ……?……ああ、貴様の精液か?いや……そちらは問題なく美味だった。期待通りにおいしかったし、見込み通り、わたしの体によく馴染むようなので、これなら血液と並んでわたしの栄養源に……いや、いや……馴染みすぎたのが、問題であるのだな……」
「おい、だから俺にも分かるように話せってさっきから、うおっ」
「ふ、ふふ、ふふへ……じょー、たろぉぉ……」
「なんだ……いきなりどうしちまったってんだよ、お前」
締まりのない笑顔を浮かべたDIOが、俺の胸元に倒れ込んでくる。かと思えば重力に引っ張られるように、ずりずり下へ下へと下がってゆく。思わずその背に両腕を回し、抱き込むように引っ張り上げた。DIOは俺の首筋に鼻先を擦り付けながら、尚もうふうふと笑っている。
「……酔ってんのか、てめぇ?」
「ん、んむ……そのような、気がするな……」
「……吸血鬼ってのは、人のザーメン呑んでは酔っ払う変態なのか?」
「人を変態呼ばわりするな……わたしが『こう』なってしまったのも、元を辿れば貴様のせいであるのだぞ、承太郎め……」
「だから『こう』ってのはどういう状態のことを――っ……」
「ふふ、ふ、あとで、教えてやるさ。一先ず今は……」
DIOの熱い舌が、汗ばんだ俺の首筋をべろりと舐め上げる。DIOは益々相好を崩し、しょっぱいな、と呟いた。
「もっと奥の奥まで、わたしを満たして欲しいのだが――構わんだろう、承太郎?」
あからさまな発情に舌を出して笑う、淫魔の如き吸血鬼に、20にも満たぬ青二才である所の俺がどう抗えたというのだろう。
俺の腹の上に跨ったDIOは、見せつけるようにゆっくりと、衣服の一枚一枚を肌蹴させてゆく。袖口から覗く手首は、開け放たれた襟元から覗く胸部は、どこもかしこも砂糖を固めたかのように真っ白で、あまりにも現実世界から逸脱してしまっている。この幻の如き体と情を交わすことへの期待に、熱い汗が噴き出した。中途半端に衣服を纏ったままのDIOが、そっと俺の前髪の生え際に唇を落とす。そしてまた、酩酊を深めて笑うのだ。

「――承太郎の味がする」

擦り減る一方の理性が皮一枚で繋がっていられたのもそこまでだ。俺はDIOの引き締まった腰を両手で掴み、再び勃起した性器を白い臀部の狭間に擦り付けたのだった。




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