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2

玄関の戸が閉まると同時にキスをした。無防備に靴を脱ぐ背を抱き寄せて、咄嗟にこちらを振り返りかけた金色の頭を押さえつける。そして深く深く口付ければ、DIOは鼻から抜けるような甘い吐息を漏らしながら、俺の鳩尾目掛けて肘鉄を繰り出した。それなりに本気で繰り出されたのだろう打撃攻撃は、それなりに、痛かった。しかし耐えた。痛みに耐え、奴の顎を上に向かせ、口内を深く、激しく弄った。その内奴の肘の勢いは失速し、うっすらと開かれた瞼の間にはぼんやりと涙の膜が盛り上がる。
「ねちっこいな……お前……」
はあはあと息を乱すDIOに、なんと返したのかは覚えていない。

惜しげなく晒された裸体に気後れをしなかったかと言われれば嘘になる。原因は洪水のように溢れる、これまでのDIOとの記憶だ。夏祭りに行った。花見にだって連れて行ってやった。自転車の後ろに乗せてやって、長い坂を下ったこともあった。俺が社会人なるものになってからも、意味のない電話をしては互いの時間を食い潰し合い、時たま会っては内容などあったものではない会話でやはりひたすら時間を食い潰し、次に会う約束などを取り付けずに別れては、忘れたような頃にまるで昨日まで一緒にいたかのように顔を突き合わせるのだ。
そんな相手と今更寝ようとしている。自分で持ちかけたこととはいえ、怒涛のような背徳感が背筋に鳥肌を促し続けている。反面同時に湧き上がるのは、ああやっとこの時が来たのだと、なにやら在るべき場所に在るように収まろうとしている気分になって、胸の奥が、暖かかった。
「~~っ、ぅ、ン……」
下半身から競り上がる快感が、思考を曖昧に融かしてゆく。衣服を脱ぎ捨てた途端、開口一番お前相手に好き勝手されるのは性に合わん、と低い声で言い放ったDIOは、俺の股座に顔を埋め、口淫に耽っている。勿体付けるようにカリ首の辺りを舐め回されれば両足の親指が突っ張り、勃起した性器の形を確かめるように全体に舌を這わせられればもどかしさに腰が揺れ、喉の奥で締め上げるように吸い上げられれば、噛み殺しきれない声が漏れた。
「ん……ンむ、ぅん……は……ふふ」
そして、じゅぽ、と音を立てながら性器が引き抜かれた赤い唇、ぽってりと充血するそれに、性器の先端へちゅっと可愛らしいキスを施されてしまえば、もうどうしようもない、どうしようもなく目眩がした。
自らの口と手で勃起させた性器に指を這わせ、戯れるようにふにふにと陰嚢を弄ぶDIOが、にんまりと俺を見上げている。得意げなにやけ面はもう見慣れたものであるはずなのに、頬の横に並ぶ性器と、白い肌をうっすらと染め上げる桃色、それらのオプションが追加されたDIOの顔というものは妙に新鮮で、知らない相手に性器をしゃぶられているような気分にすらなってくる。
それがまた俺を、たまらない気分にさせるのだ。俺が知らないDIOがいた。何でも知っていた筈なのに、この男にはまだ俺の知らない顔がある――いいや、きっと俺は俺が思うよりもこの男のことを知らないのだ、目の下の隈の理由だって未だに全く見当がつかないのだから――なんてことを改めて突き付けられた気分になり、早くこの男を暴いてやりたいと、征服してやりたいのだと、そうしたよろしくない衝動ばかりが勢力を伸ばし続けている。この俺の、煮立った頭の中に於いて。
「ふふ、ふ、だらしないことだな、承太郎?ちょっとしゃぶってやっただけで、すぐこれだ。いい年をした大人が、情けない」
「てめーがやたら慣れてやがるのがいけねぇんだろうが。おまけにくっそエロい面ぁしやがって」
「『ふぁぁん承太郎のちんぽおいひぃぃv』――とかなんとか言おうものならそれだけて射精してしまうのではないか、お前、この調子だと」
「もう一回言ってみろよ、それ」
「じょーたろぉのちんぽおいひぃぃvせーえき早くのみたぁいじょーたろぉv」
「ちったあ恥じらってみせろよ、クソあばずれ」
「わたしに何を期待しているのだ」
先走りと唾液が入り混じった液体にてらてらと濡れる赤い唇が、三日月の形に吊り上がっている。赤く縁取られた双眸も同様であり、どうにもド淫乱の称号をくれてやりたくなる表情は、この男にやたらめったら似合っているのだった。こんな顔だって、今夜初めて見るものだ。過日への若干の寂寥感と、ふつふつと湧き立つ興奮が溶け合うことなく入り交じり、背筋の鳥肌と下半身の熱は大変なことになっている。そんな俺の様子を楽しむように、DIOは尚もにやにやと笑いながら、性器のあちこちに慈しむようなキスを寄越してくるのだった。
「お前は」
「ん?」
「なんつーか。慣れてやがるんだな」
「まあ、長く生きているからな」
「そうか」
「嫉妬か、承太郎」
「いや……よう分からん。ただ妙に、腹の据わりが悪ぃ」
「それを嫉妬というのだ、承太郎よ」
濡れた唇の間から現れた赤い舌が、アイスキャンディーを舐めるようにわざとらしく、亀頭を舐め回しに掛かってくる。時たま尿道口を擽るように舌先をぐりぐりと押し付けられて、酷く、気持ちがよかった。俺を見上げるDIOの表情もやたらめったらにいやらしく、果てしなく興奮した。どうにもたまらん気分になり、金の髪をぐしゃぐしゃに撫で回す。DIOの笑顔は、とろけてゆく一方だ。
「時に承太郎よ」
「変な所で喋るな、お前……」
「お前はわたしを抱きたいのか?それとも抱かれたいのか?」
「そりゃあ……抱きたいに決まってる」
そもそも自分が抱かれる、という選択肢自体が頭になかった。
「まあわたしも、40になる男の尻を掘ろうとは思わんが」
DIOの右手の五指が、濡れた性器を優しげに包み上げる。そのまま数度扱き、見せつけるようにゆっくりと離れていった指先は、艶めかしく濡れていた。その指先を、DIOは後ろ手に己の後孔へと突き立てる。
「ンっ、……ふぅ、ん、ふ……は、ん、ん……」
甘ったるい嬌声を押し止めるように、DIOはふっと目を瞑り、口に含んだ俺の性器を吸い上げては舐め回した。少し首を伸ばしてみれば、傍目には狭く、小さく見える赤い淵が、しなやかな指の2本ばかりによって無理矢理押し広げられている、ように見える光景が繰り広げられている。指が派手に蠢き出すにつれ口淫は激しさを増し、DIOの吐息には隠しきれない欲情の色が滲みだす。
「――、」
先に痺れを切らしたのは、俺だった。
「っ?ん、じょぉたっ、ぷあっ!?」
指に絡みつく金髪を引き、DIOの頭を下半身から引き剥がす。硬い歯が側面を刺激する感覚に性器は痺れ、DIOの舌先と性器の先端とが糸を引き、そしてぷちりと途切れる光景に頭の奥の方が痺れた。DIOは、目を白黒させている。どことなく幼い表情が、妙に可愛らしかった。
「きさま、急にッ」
「俺にもやらせろよ」
「はあ?おまえ、ッ、ぁ、う、うっん、ん……」
引き上げた体を、抱きしめた。肩甲骨の浮かびあがる背を左腕の中に閉じ込め、もう片方を、剥きだしの臀部へと伸ばす。そして抜けかかっているDIOの指と共に俺の指も、2本ばかり後孔へと突き入れて、きゅうきゅうと収縮を繰り返す内壁を愛撫する。文句を言いたげに顔を上げたDIOはしかし、ばらばらと指を動かすたびに眉を寄せて息を詰め、やがては俺の肩口と顔を埋めてしまう。せめてもの抵抗、と言わんばかりに首筋へと与えられた甘噛みの痛みすらも、心地よかった。
「お前、ちゃんと体温上がったりもするんだな、DIO」
「は、ぁ……?」
「熱い。とても」
「ん、んぅ、うぅ~……」
薄紅色に染まる体が、耐え切れぬ、と言わんばかりに、切なげに揺れる。頭をもたげかかっているDIOの性器が、すっかり勃起してしまった俺のそれに擦り合わされて、もどかしい快感に、じれったい接触に、年甲斐もなく胸が高鳴った。
「じょ……承太郎」
「なんだ」
金色の髪の群生を、掻き混ぜるように撫で回す。DIOは怠惰に首を振りながら、顔を上げた。
「……気持ち悪い」
「……今更何言ってやがるんだ、お前?」
「いいや……だからといって、やめたいというわけではなく」
「なにが言いたいんだ」
「……そのだな」
「おう」
至近距離の赤色の瞳は、気まずげに泳いでいる。ちっともDIOらしくない表情だ。何か言いたいことがあるのだろうに、言いよどんでいる様子も含めてちっとも俺の知るDIOではない。詰まってしまった言葉を絞り出させるべく内壁を撫で上げてみれば、反らされた双眸は反射的に、と言った様子で俺へと向けられる。文句を付けられるのだろう。そう覚悟をしたものだったが、ピントが合っているのかいないのか定かではない、大きく見開かれた双眸は、頼りなく、弱弱しく揺れていた。
お前は本当にDIOなのか、俺とうん10年を過ごしてきたDIOなのか。
思わず、背を抱く腕に力を込めていた。瞬間DIOの両目は敵意も露わに細まって、拘束から逃れようと身を捩る。
「ぁ、」
どう動こうとも立ち上がった性器は俺のそれと擦れ、俺のものと自分のもの、合わせて4本もの指を食まされた後孔は走る刺激に感じ入るよう、きゅんと激しく窄まった。感じやすいのだろう。そうした体を持て余すDIOの姿に、やたらと興奮した。そんな俺の内心を読み取ったかのように、俺を刺し貫くDIOの双眸はどこまでも剣呑だ。
「言いたいことがあるなら、ちゃんと言え」
「……優しすぎるのだ」
「俺がか」
「わたしを抱き締める腕も……頭を撫でる掌も……なにやら、中に突っ込まれた指さえも……妙に優しくて、気持ちが悪い……」
居心地が悪そうに再び目を反らしてゆくDIOを前に、目を瞠る。酷くされた方が、お前は嬉しいのか。咄嗟に浮かんだ問いかけは、しかし「ああそうだ」と言われても実践できる気がしないので唾液と共に飲み込んだ。
ああ、できやしないのだ。柔らかな金髪を撫でながら、赤い瞳、そこに確かに映る俺と対面する。老けちまったものだ、と思う。今更力づくでDIOをどうにかしてやろうなんて馬力はなく、むしろ、ひたすら大事にしてやりたくてならなかった。思考まで老けてしまったものだ、本当に。心臓が早鐘を打つまま、必死になることしかできない若者の時分などは、とっくに過ぎ去ってしまったのだ。
とにかくこの40歳の俺は、

「――急がなくたって、どれだけでも時間はあるんだ。だから、死ぬほど優しく抱いてやる。誰よりも優しく抱いてやる。お前の下らん意地がとろけるまで、どれだけだってな、DIO。俺の事しか考えられなくなっちまえばいい、お前なんか」

そういう作戦で、この一世紀醸造の意地っ張り吸血鬼の中に侵入し――もう2度と、自分はひとりなのだと、幸せではないのだと、現実が見えていないにも程がある強がりばかりを繰り返すこの男を、征服してやろうと、試みているつもりでいる。
それができるだけの耐え性がある。その為に、この40歳までの時間があったのだろう、という気がしている――というのは言いすぎであるような気がしたので、苦笑した。
「なんつー顔してやがるんだ」
ぽかんと口を開けて俺を見返すDIOの面の、間抜けといったらなかった。さすがに照れくさいことを言ってしまったような気分になり、誤魔化しがてら、柔らかな頬を摘まんで引っ張ってみる。余計に間抜けになってしまった美貌の愛嬌が、愛しかった。
「承太郎、」
DIOは抵抗しない。手を振り払うこともしなければ、首を振ることもしない。間抜けな顔のままじっとじっと俺を見つめ、その内赤い双眸は、ふにゃりと情けなく細まった。まるで泣く寸前の表情だ。DIOが100余年掛けて作り上げた頑なな堤防が、今、俺の膝の上で決壊を迎えようとしている。俺の知らない表情ばかりみせてくれるというのはそういうことで、きっと、あの赤い瞳から涙が滴った時こそが、俺がこいつの唯一になれた瞬間であるのだろう。
「お前はどうして、そんなにも、このわたしを」
少々、気が急いた。抱いた体をシーツの上に横たえ、長い脚を抱え上げた。ひくひくと収縮する後孔の入り口が、俺の眼前に晒される。DIOが、羞恥心を感じている様子はない。そんなものは二の次だ、と言わんばかりにじっと俺を見上げ、どうして、どうしてと、その問いの答えを泣きそうな顔で待っている。
DIOの上に覆い被さり、キスをした。額に、頬、鼻の頭。最後に、唇の先。そして両手の中に、綺麗な、とろけていたってどこまでも綺麗なDIOの顔を閉じ込めて、赤い目を、覗き込む。答えの用意などは、とっくの昔に済んでいる。
「お前のせいで、俺はずっと「ひとり」じゃあなかったからだ」
それだけだ。
「お前を幸せにしてやるなんて傲慢を言うつもりはないし、俺を幸せにしてくれと泣き言を言うつもりもない。だからDIO、俺と」
俺にはずっと俺がいたし、同じ時間だけ、お前にだって俺がいた。

「俺と、幸せにならないか」

今更こんなことを望んでやまない理由など、それだけで充分だとは思わないか。
DIO、なあ、DIOよ。

「承太郎、」

呆然とした顔で俺の名を呼ぶDIOの、真っ赤になってしまった目の淵から、小さな雫の一滴ばかりが押し出されるようにぽろり、と滴った。俺は確かに、この目で見たのだ。DIOの赤い目から涙が零れる光景を。
目の淵に口付ければ、うっすらと塩辛い味がした。お前今、泣いただろう。そう揶揄してやる前に、DIOの両腕が俺の背に絡みつく。そして、肩甲骨を掴むように爪を立てられて、理解した。DIOは俺の横暴を、許そうとしているのだと。
「入れるぞ」
「……ん」
2本の指で後孔の入り口を押し広げ、先走りを垂らす性器を押し当てる。DIOは鼻から抜けるような息を漏らし、俺の肩口に額を押しあてた。浮いた後頭部を、撫でる。撫でながらゆっくりと、DIOの体内へと侵入する。
「ぅ……ん、はぁあ……ぁ、あ……」
「……狭い、な……まだ、早かったか……?」
「も、もんだいない……わたしは、へ、へいきだ、承太郎……」
「……信じるからな」
「ぅあっ!ぁ、あ~……っ、っく、ん、ぅう……」
気は急いた。早くこの体を滅茶苦茶に突き上げ、枯れてしまうまで涙を流させてしまいたかった。しかし、今日は死ぬほど優しく抱いてやると誓ったのだ。そうしてやりたかったのだ。なので奥歯を噛み、理性の決壊を押し止める。そうしてゆっくりと引いては押し込み、DIOの体を割り開き、合間に何度もキスをした。
「あ、ああぁ……はぁ、あぁん……じょーたろぉ……」
「よさそうな面ぁ、してるじゃあ、ねぇか」
「ん、ふふ、ぁ、あっ……わるくは、ないぞ……じょうたろぉ……」
「素直にイイっつっとけよ、オラ」
「あっひぃ、ぁあっ、あ、や、あああっ」
反っくり返ったDIOの性器を掌で包み込み、扱いてやる。やはりこれでもかと優しく、撫でるように刺激をしてやりながら、時たま指の腹で先端をぐりぐりと撫で回す。そうするたびに、中は激しく収縮した。きつい締め付けに耐えながら、尚もゆっくり、ゆっくりと抽送を繰り返す。シーツに沈むDIOの体は、もうどこにも白いままの部分がない。
「だ、だめだじょうたろうっ、だめっ、ひ、ぅうっ、ぁあ、らめぇッ!こんなっ、こんな、もっ、もう、わたしっ、わたしぃッ」
「優しく、ッ、してやってる、だろうが」
「~~こ、こんなの、知らないっ、このDIOはっ、このDIOはぁ、あ、ああっひ、ぁあんッ」
腰に絡んだ脚の締め付けが、背中を掻き毟る爪の鋭さが、とろけた赤い瞳から零れる大粒の涙が、如何ほどにDIOがこのセックスに於いて感じ入っているのかということを、これでもかと俺に理解させに掛かってくる。馬鹿みたいに綺麗な顔は、馬鹿みたいにいやらしく緩んでいる。興奮する、とても、とても。俺だって死ぬほど気持ちが良いのだということを知らしめさせてやるべく、爆発寸前の性器の形を教え込むように、努めてゆっくり何度も何度もDIOの体を突き上げた。やばい。本当に、死ぬほど、気持ちが良い。俺だってこんなのは、他に知らん。
「いっ、いくっ、ふっ、あぁあ……じょうたろっ、いく、イクっ……もう、でるぅ……!」
「ああ……」
「あっあっ、やっ、つ、つくの、やめてっ、あっ、ひンっ、ぅああ、でるっ、でるぅっ、あ、ああっ、あぁあああああ!!」
「っ……!!」
片手で勃起した性器を搾り上げ、もう片方の腕でDIOの頭を抱きかかえた。掌に吐き出された白濁の熱さに、今更ああ、俺はDIOとセックスをしているのだな、なんて現実を突き付けられた気分になり、なにやら目頭が熱い。ついでにDIOの絶頂によって締め上げられた性器も、今にも爆発せんがばかりに熱くなっている。
「あ、あ……ぁ……?ひ……ぅあ、あっ、あ……!?」
達したばかりの体を突き上げる。体勢を整える為にDIOの脚を抱え上げれば、俺の手に付着していた精液がDIOのほんのりと赤い肌の上に塗りたくられ、同にも卑猥な光景に喉が鳴った。そんな俺の下では、涙に濡れた目を見開いたDIOが泣き喚くように喘いでいる。きゅっと丸まった爪先は、ひたすらに中空を蹴っていた。
「まだ、まだだめぇ、じょうたろっ、あっ、ひぃっ、わ、わたしまだ、いったばかりなのにぃっ、じょうたろっ、そえだめぇっ、やらっ、やっ、あ゛っ、ああああっ」
「外に……出した方がいいのか」
「ぁっ、ぇ、え……!?」
「それとも、中か……このまま出しても、いいのか……DIO……!?」
「……~~!!」
信じられない、とでも言いたげな顔をしたDIOはふいと俺から目を反らし、唇をきゅっと噛み締めた。
「……ちゃんとこっち見ろよ、お前」
「あ、あっ……」
一度白濁を吐き出した性器を掴み、今度も優しく、抽送に合わせて扱いてやる。すっかり硬度を取り戻したそれは、じきに再び絶頂を迎えるのだろう。DIOが観念したようにこちらを向く。赤い舌の覗く唇を戦慄かせ、とろけた両目で俺を見る。
「DIO」
呼びかければ、途端、形の良い眉は八の字に垂れ下がり、赤い瞳は細まった。そうして、

「中……中でいい……わたしに、出して……承太郎……」

囁くように零された声、その弱々しいを通り越して死んでしまいそうな声の響きはここへきて初めて聞くもので、ああ、俺はまたひとつDIOを知れたのだなと、心臓を締め上げる感慨は深まってゆく一方なのだった。
「DIO、」
「あ、あぅっ、ああっ」
「どうなってる、お前の中」
「っ、じょ、じょうたろうが、っ、で、でたり、はいったり、してぇ……でかい、おおきい、ものすごく……ひ、広がってる、わ、わたしの、中、承太郎で……!」
「……出すぜ、そこに」
「っ……!」
「おい、しめんなよ……千切れたら、どうする……」
「らって、らってぇっ、ふっ、くぁ、っ、あ、わ、わたしもっ、じょうたろうっ、じょうたろうッ!!」
「DIO……!!」
「っあああっ、ひ、ぁ、ああああ~~!!!」
「……!!!」
DIOは自らの腹の上に二度目の白濁をぶちまけて、俺はDIOの体内、限界まで突っ込んだ奥の奥で吐き出した。途端に大手を振ってやってくる脱力感に腰が砕け、DIOの上に倒れ込む。DIOは焦点の合わない瞳で、ぼうっと天井を見上げている。滑らかな頬に残る涙の道筋を拭ってやれば、DIOはたっぷり5秒ばかりの時間をかけて俺の方を向き、泣くように、微笑んだ。

「DIO」

愛おしい表情に、思わず『100年先まで一緒にいよう』なんて、青臭いにも程がある台詞が飛び出しかかる。苦笑と共に飲み込んで、赤くなった頬に、口付けた。

「やっぱり馬鹿みたいに綺麗だ、お前」

DIOが無防備に瞠目する。初めて顔を合わせた時から思っていたことであるが、よくよく思い返してみればDIO本人に言ってやったことはなかったのかもしれない。今更照れくさくなって唇へとキスを仕掛けてみれば、至近距離で、DIOはうっとりと細まった目で俺を見つめている。
やっぱり綺麗だよ、お前。
押し付け合うように触れ合った唇の隙間で、そう、呟いた。きっとDIOには、聞こえていない。




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